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可変性のある住宅とライフスタイル

 可変性のある住宅は、在宅勤務にも対応性が高いと以前このブログで述べた。その際、オランダのリートフェルト作のシュローダー邸を紹介し、我が国の都市マンションは固定壁が多すぎるのではないかと疑問を呈した。今回は都市における典型的なマンション例をもとに、可能性について考えてみたい。

 都心によくあるコンクリート構造の3LDKタイプのマンション(図1)は、中央に玄関があり、共用通路側の窓に2つ個室が並ぶ。玄関から廊下の先がLDKで、リビング側にもう一部屋ある。子供2人を想定した場合の使い方として、幼少期は夫婦と一緒に寝て、少し成長したところで上の子は個室1に移る。性別の違いや受験などの理由から、個室1、2は子供が占領するようになり、夫婦はリビング側の寝室へと追いやられるケースが多いのではなかろうか。

 家族構成が同じ場合で、可変性対応を図2で示したい。子供2人を持つ若夫婦が中古マンションを購入し、フルリノベーションして図2のプランにしたとする。子供が小さいうちは親の目の届く範囲で育てるため、主寝室以外をリビング・ダイニングとし、子供達が自由に遊び回れるプランとした。主寝室と洗面所の間仕切りを開放することで全体に回遊性が生まれる。
 キッチン近くに子供の勉強机やプレイコーナーを配置し、小学生ごろまでは2段ベッドで上下に寝る。子供が成長すれば、LDKとは可動間仕切りで個室化できる。ただし、勉強時間や就寝時以外は、LDKとの境はできるだけ開放する前提である。
 このプランの特徴は、キッチンとダイニングを中心に据えたこと。これは、家族のコミュニケーションを重視し、料理作りから食事まで家族で一緒に楽しみたいためだ。もう一つの特徴は玄関側の引戸を開放することで、リビングが南北両方の窓から採光でき通風も可能となること。これは、換気だけでなく、自然の恵み(光や風、ベランダの植物や眺望)を家族が共有できることを考えたためである。
 図3は子供が独立後、夫婦二人となったシニア世代を想定した。ここでは、洗面所と浴室は図1と同じ位置のままで設備を新しくし、その他を大胆にリノベーションした例である。
 まず、夫婦で料理を楽しめるようLDKの中心にキッチンを配置した。そして、子供夫婦や友人が訪ねてきた際、一緒に料理が楽しめるように、リビング・ダイニングはある程度の人数にも対応できる広さを確保した。それによって、夫婦の趣味や仕事もある程度独立性を保つことができる。寝室・書斎を広く取ることで、少し余裕を持ったレイアウトも可能だ。そして、寝室からリビング・ダイニングまで南北に繋げることで、図2と同様に換気と自然の恵みを享受できる。
 以上のように、在宅勤務の経験から発想したものの、「人生100年時代」の住宅にも適用できるのではなかろうか。日本家屋では当たりまえの可変性は、襖や障子によって支えられていた。また、庭との間には縁側などの緩衝エリアが存在していた。これらの良さを見直し、現代に活かすことで、これまで以上に豊かなライフスタイルの可能性が生まれるように思える。

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